大阪市民レガッタ(番外編) by本郷 徹

 4月19日大阪は桜ノ宮にて大阪市民レガッタが行われた。今回はZOCとしてではなく、追手門学院大学OBとして出場した。
 ここ桜の名所である桜ノ宮でのレースは毎年4月の開花時期に行われ、沢山の花見客で賑わっており、僕は学生時代からこのレースが大好きであった。ここへ来ると、当時が鮮明に思い出され、思わず浜田省吾の「悲しみは雪のように」を口ずさんでしまう。
 数年前から大学のOBとしてこのレースにエイトという種目にてエントリーするようになったのだが、OBチームとして参戦するのは、年一回のこのレースのみである。レガッタには多数の種目があるが、僕が学生時代一番熱かったのは、やはり当時は花形のエイトであった。レガッタの中で一番人数の多い種目であり、名の通り漕手8人に舵手が一人の計9人のクルーで構成される。ただ現在はオリンピックで比較的日本人が対等に戦えるダブルスカルという2人艇が主流となり、エイトに力を入れているところが少ないようで、なんだか寂しい気がする。僕は、高校時代はシングルスカルという1人艇に乗っており、大学ではエイトに乗っていたのだが、エイトという超団体スポーツを経験したからこそ、今でもボートが好きなのかもしれない。確かにエイトは色々な意味で大変なのである。技術以前にチームワークが最も必要な種目だからである。同じ団体スポーツでも野球のように、個人プレーがあったり、誰かヒーローが存在するのでは無く、全員が同じ気持ちで、同じ動きをすることが求められる為、上手くいけば倍以上の力になるし、失敗すれば半分以下になってしまう、そんなスポーツだ。だからこそ当時はよく喧嘩をして、なかなかクルーがまとまらなかった苦悩があった。そんな苦悩が多かったからこそ、今でも仲間という意識が強いのかもしれない。と僕はこんなことを書き出したら、永遠に終わらないので本題に戻そう。
 と言うわけで、今年もこのレースに出ることになったのだが、実は前日の夕方になって数名が仕事や体調不良の為にドタキャンをしてきたのである。よりによって前日とは、なんてこった。急いで他のOBに連絡を取るが、皆社会人、簡単には行かなかった。そこで相談の結果、棄権しようという事になってしまった。しかし、夜中になり今回幹事の福井さんが、なんとかして出ましょうとの連絡が入り、とりあえず集合する事になった。翌日現地にきてみると、やはり予定の人数には達してしなかったが、急遽現役生にも乗ってもらうことになり、現役とOBの混成クルーになった。(但し、実は男装した女子の漕手が2人乗っていた。)
 このドタバタ劇の中、予選最終組にいざ出陣である。OBチームといっても現役時代一緒に漕いでいたのはわずかに一人。殆どがこのレースのみか、初めて組むメンバーばかりであるため、流石に上手く合わない。全員少しずつ焦りはじめ、異様な空気が漂いだした。しかしその時、酔っ払った花見客が川に飛び込んだらしく、助けを求めている。そこで、モーターボートに救出を頼みに行くことになった。ここで我がクルーの転機が来た。とにかく急がないといけないという気持ちが、クルーに浸透し、余計なことを考えずに必死に漕いだことで、さっきまでばたついていたのに、見事に統一され、きれいに艇が進んでいるではないか。本当に何がきっかけになるのかわからないが、とにかく少しはまともなレースが出来そうである。
 レース開始寸前。やはりこのシーンは何度経験しても緊張感があり、いいものだ。僕はこの瞬間が一番好きだ。このレースは3艇で行われ、僕たち以外の2艇は現役の大学生で、普段真面目に練習している相手だ。反対に僕たちOBチームは普段全く練習していない。その時点で勝負は決まっているのだが、いざここに来ると勝ちたくなってしまう。
 そしてレース開始。予想ではいきなり突き放されるところだったが、以外にも並んでいる。そして150Mくらいの時点で2位に浮上した。皆予想外の展開に一気に気分が盛り上がり、おのおの「行けるぞ〜。」等と叫んでいる。しかし200Mを過ぎたところで、何故か審判が、レースを止めてしまった。どうやら、僕たちの艇以外の2艇が衝突しそうになり、そのうちの1艇をレーン侵害で、失格になったらしい。この川はカーブしている為、時々このようなケースがある。僕たちも昨年はそれで失格になってしまった。というわけで、2艇で再レースである。よりによって僕たちが勝っていた方が、失格になってしまった。(後から思えば、アクシデントがあったから勝っていただけかもしれないが。。)
 そして再レース。結果は惨敗だ。やはり実力の差は隠せなかった。しかし皆の顔には笑顔があった。ここ最近の中では一番気持ちよく漕げたからだろう。最も、普段何もしていないチームが毎日練習しているチームと対戦して、勝とうというのが、間違いであるが、やはり、勝負事。負けるのは悔しいものである。でも恐らく悔しく思わなくなったら、皆レースにでるのは、止めるだろう。日常生活の中で、皆一つになって、必死に戦う事など無いだろうし、こんな気持ちになることはだんだん少なくなっていく。でも当時の気持ちを思い出させてくれるのが、このレースのいいところである。そして青春時代に戻れるのだ。そしてまだまだ頑張ろうという気持ちになれる。そして来年こそ、おのおのもっと鍛えて、悲願の予選突破を誓い幕を閉じた。